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by you-arsession |
2010年 03月 13日
「描かずに描く(えがく)」・・・
というので、なぜか向田邦子さんを思い出したのです。 東伯の「松林図屏風」の余白の部分に深い空間の奥行きを感じたように、 向田さんの文章は、簡潔な文と文との行間に感じるものがあるのです。 20代の頃、向田さんのエッセイや脚本が好きでよく読んでいました。 その中で「手袋をさがす」というエッセイはそのころの私の心境にぴったりでした。 気に入った手袋がなく、一冬手袋無しで過ごしてしまうという、 ただそれだけのことなのですが、 どんな手袋がほしいのか・・・ 本人にもわからないのです。 いろいろ試してみるが、これというものがみつからない。 でも、このへんで我慢すると言うことができない。 しかも、今なお、これでよしという満足はなく、 もっとどこかに面白いことがあるんじゃないだろうか、 私にはもっと別の、何かがあるのではないだろうかと あきらめ悪くジタバタしているのですから。 ないものねだり、かもしれません。 でも、適当なもので自分をごまかさず、 運命の神様になるべくゴマをすらず、 少しばかりけんか腰で いつまでも自分の欲しい手袋を探し続ける向田さんが、かっこいいなと思ったものです。 ところが、今の私ときたら、 ダイエーの最終処分の大安売りの手袋を買ってほくほくしているのですから・・・・ ほどほどのところで満足することを学び、 それで幸せを感じられる平凡な自分でよかったと ちょっと安心しているのです。 カッコいい生き方は、きっとちょっと寂しい。 向田さんは、幸せでしたか・・・ Yuko Nakane 千葉県松戸市の設計事務所 アトリエ アル・セッション
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